Management / マネジメント

スケジュール管理の要点:溝を掘って水を流す

大規模SIプロジェクトでは、スケジュールを立てて管理することが大事です。
新入社員でもそんなことは分かります。


にもかかわらず、スケジュール管理をろくにせずに作業に着手する。
適切にプロジェクトが管理できず、当初想定の期限・納期に(大幅に)遅れる。


残念ながら、こういう人が多いです。



■ スケジュールを立てる暇はない!?

スケジュールを立てない・管理しないタイプの人は、たいてい、こういいます。


「スケジュールを立てる時間があったらキャッチアップ(遅れの挽回)にあてるべき」


ぱっとみたところ真実のようですね。


しかし、私に言わせれば、「そんなこと言っているからいつまでたってもキャッチアップできないんだよ」ですね。


例を挙げて説明しましょう。


■ 水タンクに水をためる

例えば、水タンクに水を貯めるという取組みを考えましょう。


バケツをつかって川から水を運ぶ。
川から溝を掘って水を流す。


どちらが賢いと思いますか?
普通、溝を掘って水を流すほうが賢い、と思うでしょう。


確かに、バケツで水を運び始めれば、即効性はあります。
すぐに目に見えて効果が上がります。


溝を掘るには時間がかかります。
即効性だけを求めれば溝を掘って水を流す行為は冗長というか緩慢に見えるでしょう。


とはいえ、繰り返しですが、長い目で見れば、溝を掘って水を流すほうが優れていることは誰にも明らかです。


■ 大規模SIプロジェクトにおける考え方

このことを大規模SIプロジェクトに当てはめてみましょう。


スケジュールを立てずに闇雲に目の前の作業をつぶしにかかる人たち。
こういう人たちは、私に言わせれば、バケツで水を運ぶタイプの人ですね。


気合と根性は買うけれども、あまりに効率が悪い。
先のことをまったく考えていないし考えられない。


こういうタイプの人は、忙しくなって新たに人を採用するときでも、こういいます。
「スキルのあるやつ」が欲しいと。


私の視点からすると、この人たちのいう「スキルのあるやつ」とは、バケツを運ぶために腕っ節の言いやつが欲しいと言っているだけです。


こういう人のもとで本当にSIスキルのある人がこき使われると、結局、疲れ果ててしまい、体を壊したり、会社を辞めたりしがちです。


そうではなくて、溝を掘って水を流すのです。


つまり、計画を立ててから仕事をする、まず最初にスケジュールを立てる。
そして、スケジュールを管理する。


こういう行為が極めて重要になります。


上記のようなバケツで水を運ぶようなタイプの人よりは明らかに溝を掘って水を流す人のほうが合理的ですよね。


■ 仕事が忙しいときに、考えるべきこと

皆さんがSIプロジェクトで仕事が忙しくなったとき、こう自問自答してください。


「バケツで水を運んでいないか?」
「まず最初に溝は掘ったか?」


自分や自分のチームがバケツで水を運んでいるということに気がついたら。
勇気をもって、一旦バケツを手放して、溝を掘ることに専念してください。


換言すれば、目先の作業が少々遅れてもいいのです。
作業を一旦とめて、スケジュールを立て、管理しましょう。


この程度のことはリーダーシップ云々以前の極めて基本的なことです。
しかし、意外にできていないものです。


■ ツールを導入して一丁あがりではない

さらに言うと、「溝を掘って水を流す」ための道具・ツールについて。
これら道具・ツールを導入して、ハイ、一丁あがり、と思ってはいけません。


道具・ツールは導入した後に、適正に使われているかが縦横です。
適正に使われているかをリーダーが確認しないといけません。


具体的に言いましょう。


「溝を掘って水を流す」という考えに立ち返る。
「プロジェクト・スケジュール管理をちゃんとやれ!」とリーダーが号令を飛ばす。


これらの行為は、良いことでしょう。


ただし、プロジェクト管理ツール文書管理ツール変更管理プロセスといった道具・ツール・プロセスが導入できてしまって安心してしまう人が多いです。


これらツールは、所詮、道具・ツールです。
導入されても、日々の業務の中で、末端の作業レベルまで使われなくてはいけません。


むしろ、工数をかけてこれらツールを導入したにもかかわらず、適正に活用されない場合、工数の無駄遣いになってしまいます。


ツール導入の工数が無駄となってしまうと、「バケツで水を運ぶ」という考え方を持つ人たちに、「溝を掘って水を流す」という考え方への格好の揚げ足取りの材料を与えることになります。


これらツール・プロセスは必要ですし、導入しなくてはいけない必須ツールです。


しかし、ツール・プロセスが導入され、かつ、活用されているかどうか、リーダーがシツコク確認しなくてはいけません。


■ 群集心理に惑わされず、果敢に行動する

多忙を極めると、人間は、普段では考えられないことをすることがあります。


普段であればスケジュールをきちんと立てるタイプの人。


こういう人であっても、自分の目の前の問題・課題を解決することばかりに目が行く。
そうすると、思わずバケツで水を運んでしまうものです。


SIプロジェクトのリーダーは、常に自分のチームにおいて、「バケツで水を運んでいるか?」「溝を掘って水を流しているか?」という自問自答を繰り返しましょう。


群集心理とは恐ろしいものです。
チーム全体の雰囲気が「仕事を前に進めなくては!」と躍起になっている。


こんなときは、仮にチームメンバーの一部(場合によっては全員!)が「バケツで水を運んでいる」自分に気づいていても、「溝を掘らせてください」とは言わない、言えないものです。


プロジェクト・チームの雰囲気がそうさせるのです。


SIプロジェクトのリーダーは、バケツで水を運んでいることに気がついたら、行動力・指導力をもって作業をとめて、溝を掘るよう、つまり、スケジュールを立案・管理し、プロジェクトを管理するよう、チームメンバーを指導する必要があります。

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2005年06月30日 01:15